母乳の知恵20スタート編

赤ちゃんが生まれる前に

1. 母乳育児について知ろう
☆母乳育児の方法は意外と知られていません。出産前に情報を集めよう。
☆できれば複数の本を見てみよう。相談できる助産師や医師を探そう。
☆母乳育児サークルに遊びに行って、授乳ポーズを見て経験談を聞こう。

2.おっぱいをゆったりさせよう
☆きついブラジャーはおっぱいの血流を減らし、母乳の準備には向きません。
☆ワイヤーなしのもの、綿か綿混のもの、アンダーバストがゆったりしたものを探そう。
☆可能なら、おうちではノーブラもおすすめです。自然のマッサージになります。

赤ちゃんが生まれたら

3.初めての授乳は、ママのおっぱい
☆赤ちゃんは、初めて吸ったものの形を覚えようとします。
ママのおっぱいをいちばん最初に赤ちゃんに吸ってもらいましょう。

4.乳輪部を吸う
☆ママが赤ちゃんを引き寄せて、おっぱいを赤ちゃんに深くくわえさせます。
☆赤ちゃんのくちびるが、乳首ではなく、乳輪部に当たるようにします。

5.乳首はふかない
☆ママの乳首は消毒綿でふくと乾燥し、いたみやすくなります。

6.赤ちゃんの顔と体の向きと、授乳の姿勢
☆赤ちゃんの顔が首を曲げずにまっすぐママの方を向くように抱っこしよう。
☆赤ちゃんのおへそが、ママの方に向いているようにして授乳しよう。
☆慣れてきたら、いろいろな方向から抱っこして授乳してみよう。

7.毎日、何回も授乳してよい
☆あまり出ないと思っても吸わせてみよう。吸えば吸うほど母乳が出てくるようになります。
☆1日10回でも20回でも、赤ちゃんが欲しがる度にこまめに授乳しよう。

8.20分以上、授乳してよい
☆1回に20分以上、飲むことがよくあります。

9.母乳は産後3日~数日で出てくる
☆母乳は出るようになるまで産後3日~数日かかることが多いです。そのため
「赤ちゃんは3日分のお弁当と水筒を持って生まれてくる」と言われています。
☆赤ちゃんは出産後3日くらいまでは体重が減り、その後、増えていきます。

10.痛いマッサージはやめよう
☆とても痛い乳房マッサージは、受けなくてよいです。

11.後しぼりはしなくていい
☆授乳の後に母乳をしぼると、必要以上の母乳がわいてきてしまいます。

12.ゲップは出ないこともある
☆ケップを出すときは、赤ちゃんの背中を手のひらで上にさすります。
☆母乳の場合はゲップが出ないことが多いです。心配しなくて大丈夫です。

ママにやさしく

13.母乳がよく出る秘訣は、リラックス
☆ママが緊張すると、体もかたくなり、母乳が出にくくなります。
ゆったりのんびり、ママがリラックスするとよく出てきます

14.ママの体を大切にする
☆ママが肩こりになったり、体が冷えていると母乳が出にくく感じます。
肩を回し、体操してほぐそう。足腰をあたためて血行をよくしよう。
☆白湯(体温くらいのお湯)、カフェインの少ないお茶、常温の水がおすすめ。
☆ママの健康によい食事を心がけよう。できる範囲で工夫してみよう。

粉ミルクを足すとき

15.カップかスプーンで
☆カップ(コップ)やスプーンで少しずつ飲ませるとママの乳首を忘れません。

16.母乳を増やすためにできること
☆母乳を増やすためにはおっぱいを1日8回以上、赤ちゃんに吸ってもらおう。

17.昼間に足そう
☆母乳不足で粉ミルクを足す場合は、昼間に足そう。
☆夜に母乳を飲ませていると、母乳がよく出るようになる体の仕組みがあります。

本当は足りていることがある

18.母乳不足の見分け方(めやす)
☆赤ちゃんが1日におしっこを6回以上して、母乳を8回以上飲んでいるなら
☆赤ちゃんの目が輝いて、声を出したり、手足をよく動かしているなら
☆スリムな赤ちゃんでも、少しずつ体重や身長、頭囲のサイズが増えているなら
母乳は足りていると思われます。不安なときやトラブルがあったときは、
母乳育児にくわしい助産師や小児科医、産婦人科医に相談してくださいね。
☆母乳が足りていても、赤ちゃんは違う理由で泣くことがあります。たいくつなとき、
さびしいとき、粉ミルクの足し過ぎでおなかが張って苦しそうに泣くときがあります。

19.赤ちゃんの体重増加は、どのように計算する?
☆出産後いったん減ったときの一番少ない体重から、どのくらい増えたかをはかります。

20.おっぱいが張らなくても、大丈夫
☆赤ちゃんがおっぱいを吸うと、その刺激でママの脳からホルモンが分泌されて、
そのホルモンの作用で、新しい母乳が作られて出てくる仕組みです。
☆産後3ヶ月頃から、ママの乳房がやわらかくて張らなくなってきても大丈夫。
母乳は、乳房にためてあるのではなく、毎回、新しくわいて出るものなのです。
☆産後3ヶ月頃に、赤ちゃんの吸う量とママの母乳の量が合ってきます。
乳房の固さがやわらぎ、母乳がもれなくなってきて落ち着いてくることが多いです。

文章&イラスト:すずきともこ(「母乳110番」相談員・「かながわ母乳の会」スタッフ)
監修:堀内勁(小児科医)・村上麻里(産婦人科医)・町田稔文(産婦人科医)・飯田ゆみ子(助産師)

資料のダウンロードはこちら