⑩働くママの母乳育児について

働くママの母乳育児(職場復帰、保育園など):カルテ1

生後2ヶ月の赤ちゃんがいます。
私の場合、復職しないといけない職場です。しかも9:30~16:30の時短勤務(通常は8:30~17:00)のため、母乳だけで足りるとわかっていても(人に預けることを考えて)入園前から混合育児にしています。
現在、おっぱいを先にあげて粉ミルクを1日8回、40~50ccを足していますが、夜中も足していて、おっぱいがますます出てこなくなっている気がします。何より赤ちゃんがほ乳ビンのゴム乳首に慣れてしまったようで、私のおっぱいをいやがり、乳頭混乱を起こしている気がします。
体重は成長曲線がまん中より、やや下です。このまま粉ミルクだけにしてしまうほうがいいのでしょうか。少しでもおっぱいが出続けるなら混合育児を続けたいと思って悩んでいます。

母乳110番より

乳頭混乱のこともご存じなのですね。母乳のことをよく勉強されてると思いました。お聞きした感じでは、おっしゃる通り、乳頭混乱を起こしてしまっているみたいですね。でも粉ミルクだけにしたいわけではなく、「少しでも母乳育児を続けたい」のですね。

職場復帰のことは、心配しなくても大丈夫です。時短にしろ長時間勤務にしろ、働きながらの母乳育児をしているママは、おおぜいいます。
ぜひ「変則授乳」という方法を試してみてください。


「働きながら母乳育児を楽しむ20のヒント」より
(すずきともこマンガ 光畑由佳コラム NPO法人子連れスタイル推進協会発行)

 

そして乳頭混乱からの脱出には、飲ませ方を工夫する方法があります。スプーン授乳やコップ授乳を試してみてはいかがでしょうか。ネット上に動画などでやり方が出ていますので、調べてみてください。スプーンやコップは洗うのも楽です。
また、粉ミルクを足すのはできれば、「昼間だけ」で、量は1回30ccくらいまでにしておき、夜、寝る前の授乳や、夜中の授乳はおっぱいだけにすると母乳の分泌が続いていきやすいです。

少しでも出ていたら、混合を続けていけたらいいのではないかと思います。母乳を続けていると、お子さんが感染症にかかりにくく、かかっても短い日数で回復しやすいです。また、短時間で濃厚なスキンシップが取れる方法です。ティースプーン1杯(5cc)の母乳に、免疫細胞が300万個入っているそうです。少量でも気にせず、自信を持って母乳をあげてみてくださいね。

働くママの母乳育児(職場復帰、保育園など):カルテ2

生後7ヶ月の赤ちゃんがいます。
母乳育児中ですが、職場復帰を前に「慣らし保育」に通園し始めました。
勤務時間は8:30~16:30(通常は17:45)ですが、通勤時間もあり、10時間くらい授乳しない時間があります。
今は慣らし保育なので15:30に迎えに行くのですが、9:00に哺乳瓶で麦茶を与えられ、15:00に200ccの冷凍母乳を飲ませてくれたそうです。お腹いっぱいにして帰してあげたいという園側の気持ちがあるようですが、迎えに行ったときにおっぱいを飲んでくれなかったのがショックで、保育園に入れたことを後悔してしまいました。
私はすぐにおっぱいが張ってしまいます。その日も張ってしまってつらかったです。働きながら母乳育児をしたいのですが、こんなことで本当にできるでしょうか。「変則授乳」の言葉をネットで探しまくってこちらの相談電話にたどりつきました。ぜひ教えてください。

母乳110番より

そうだったのですね。200ccも飲んでいたら、さすがにすぐには吸いつきませんよね。保育園の先生にも悪気はないと思いますので、「お迎えに行ってすぐに授乳したいこと」「お迎え前は冷凍母乳を与えないでほしいこと」を伝えてもいいのではないでしょうか。冷凍母乳を与えてくれるということは、母乳育児に協力的な保育園だと思います。きっと話を聞いてくださるのではないでしょうか。
実は、他のママたちから、「保育園で無断で粉ミルクを足されてしまった」「せっかくずっと母乳でやってきたのに」「冷凍母乳は扱いません、と断られた」などのご相談があります。
冷凍母乳を受け入れてくれる保育園であれば、希望があります。まだ慣らし保育がスタートしたばかりなのですから、これからいろいろ話し合って相談していけばよいのだ、と気楽に考えましょう。

・変則授乳のやり方は、このページにあるマンガを見てください。私もやりましたし、他の多くのママがこの方法で働きながら母乳育児をしています。時間帯はみなさん、本当にバラバラです。

「変則授乳」は、慣れてくることで、2人が居る環境に応じた、あなたと赤ちゃんのカップルだけのリズムができていく仕組みです。
また、変則授乳が確立するまでは、携帯の待ち受け画面には、赤ちゃんの写真を入れないことがおすすめです。見るとおっぱいが張ってくるママがいるのです。もし張ってきたときは、圧抜きという方法があります。しぼれる環境が職場にあれば、ほんの少しだけしぼってもいいです。たくさんしぼるとまた母乳がわいてきてしまうので、ほんの少しだけ、しぼります。
どうぞ保育園に預けている間は、お子さんの心配はしないで、ご自分の時間を満喫してくださいね。笑顔のママを見てお子さんもきっと喜ぶと思います。

働くママの母乳育児(職場復帰、保育園など):カルテ3

11ヶ月の赤ちゃんがいます。仕事復帰を機に断乳を考えています。1歳ちょうどから保育園に入園の予定ですが、おっぱいを続けると歯並びや虫歯が心配です。
今は離乳食後、毎回母乳を少しだけ飲んでいます。昼間の飲む量は減ってきている気がしますし、夜中も飲んでいないので「このまま自然卒乳に持ち込んだりはできないかな」と考えています。自然卒乳しなくても、断乳したいです。職場復帰を機に断乳した他のママのお話をうかがいたいです。

職場復帰を前に断乳を考えるママは、とても多いです。
「長時間預けるためには、粉ミルクにしたほうがいい」「混合にしておかないといけない」と信じている人もたくさんいます。
働く女性が増えた今でも、「夜勤があるから無理」「長時間労働だから無理」「フルタイムだから無理」母乳育児は続けられないと思っているママやご家族が多いですし、医療者の中にも変則授乳について知らない人がおおぜいいますので、無理もないことです。
でも、そんなことはありません。混合でもいいですが、母乳のみの人もいますし、断乳してもいいのですが、母乳を続けることもできます。

そうなんですか?でも、虫歯や歯並びが心配です。

よく誤解されているのですが、母乳は虫歯の原因ではありません。(「おっぱいへの医学的質問と答え」を読んでみてくださいね。)3歳を過ぎて母乳をあげていても、虫歯ゼロの子たちがいるくらいです。
歯並びについては、母乳を飲む動きはあごを発達させるので、歯並びがよくなるそうです。歯並びがいいと歯みがきしやすくなり、将来の虫歯予防にもなります。

えっ!私が聞いていた話と、逆なんですね?
では、自立はどうですか?1歳くらいで母乳をやめると子どもが自立しやすいと聞いています。

それも誤解なのです…。母乳育児には、世間からの誤解がいくつもあります。誤解を解きたい。それも、母乳110番を始めた理由のひとつです。
子どもの心の中に安心感がたっぷりたまると、自然に自立していきます。たっぷり抱っこされたり、おっぱいを飲んだりすることが自立の基礎となります。もちろん、お子さんが無理せず自然に1歳くらいで母乳を飲まなくなったら、それでもいいと思いますが。

えーーー。知りませんでした!
それなら、母乳を続けてもいいのかな…。でも、保育園に通わせながら、仕事しながら母乳をあげるのは、大変な気がします。断乳したほうが楽なのではないですか?

断乳するほうが楽なのでは?と思いますよね…。ところが、そうとも言い切れないのです。というのも、職場復帰を機に断乳して夜ぐっすり眠れると思っていたのに、夜泣きや、ママの顔を真っ赤になるまでさわる、ママの耳たぶをずっとつかんでいる、などで睡眠不足になり「断乳してラクになったとは、とても思えない」ケースをたくさん見ているからです。夜、寝てくれるお子さんもいるのですが、夜中に起きて泣くお子さんもいます。そういうときに、「おっぱいをあげれば泣きやんで落ち着いたものだったのに、断乳したから、ずっと抱っこして歩き回ったり、夜中にドライブしたりして落ち着かせるしかなくて、かえって大変になってしまった」というママもいました。

どうしてそんなことになるのですか?

保育園入園や、ママの職場復帰で、環境が大きく変化しますよね。その変化で不安定なときに、お子さんにとってもママにとっても心のよりどころで、すぐにふれあうことができた「おっぱい」という便利なツールを手放すことは、親子ともにダメージになる場合が多いのです。
どうしても断乳したい場合は、できれば、職場復帰と断乳は少しズラして、やってみることをおすすめしています。たとえば、入園して3ヶ月くらいたって、お子さんが園に慣れてからにするのはどうでしょうか。


「働きながら母乳育児を楽しむ20のヒント」より
(すずきともこマンガ 光畑由佳コラム NPO法人子連れスタイル推進協会発行)

 

また、断乳したあとは、おっぱいの代わりに、「抱っこ、おんぶをする」「なでる」「おひざにのせて絵本を読む」「手遊びでスキンシップする」など、お子さんの心に安心感がたまることを、たくさんしてあげましょう。

どっちみち、手がかかるのですね…。それなら、母乳を続けようかな…?子どもの様子を見ながら、しばらく考えてみます。

働くママの母乳育児(職場復帰、保育園など):カルテ4

1歳2ヶ月の子どもがいます。
4月に仕事復帰し、現在朝と夕方時短で勤務時間は9:30~16:15で働いています。
朝1回、帰宅後に1回、寝る前に1回、夜中は3時間に1回くらい授乳していますが、母乳の分泌が多くて飲んでもらわないと張ってしまう。
早く帰って長く子どもと一緒に居たいが、仕事も好きです。でもこのままの働き方(時短など含め)だと、仕事を任せてもらえないつらさがあり、悩んでいます。
ストレスと過労で、妊娠前に比べ13キロやせました。疲れてはいるけれど、断乳も考えられず、どうしてよいかわかりません。皆さんどうしていらっしゃるのでしょうか。

母乳110番より

バリバリ働きたい気持ちと子どもへの気持ちの板挟み、授乳生活の疲れ、育児と家事と仕事のバランスの悩み。ストレスがたまって当然だと思います。まずは、がんばりすぎないでママがラクになる方法を考えませんか?

おっぱいが張ったときは「圧抜き」という方法があります。指は強く押さえないで、軽くはさむような感じ。息をゆっくり吐きながらします。「え?こんなことで効くの?」と最初はビックリなさるかもしれませんが、たくさんのママたちが実際にやっていますのでぜひ試してみてください。


「働きながら母乳育児を楽しむ20のヒント」より
(すずきともこマンガ 光畑由佳コラム NPO法人子連れスタイル推進協会発行)

 

それから、仕事と授乳生活のバランスですが、意外なことに「外に出てしまうと子どものことは忘れてしまう」ママも少なくないです。忘れてしまってもいいと思います。
たとえば5日間の出張前に悩んでいた方の場合ですが、「行く前は張って痛くてどうしようもなくなるか、断乳になってしまうか、どちらかだと思っていた。そうしたら出張先は仕事モードで子どものことを忘れていたので張ることもなかったし、だからといって帰宅後に出なくなったりすることもなく、前と同じように母乳育児を続けている」、そんな体験談も聞いたことがあります。

「好きな仕事をもっとしたい」、そういうお気持ちがあるのですね。職場のことについては、私もどうしたらいいかわからないですが、まずは体調をととのえることから始めるのはどうでしょうか?仕事は、体力に比例するそうです。
母乳をあげているママは、意識してごはんをしっかり食べて、栄養を取りましょう。美味しいごはんを食べてくださいね。買ってもいいし、大変な時期は、宅配の食事サービスを利用してもいいと思います。5人お子さんがいる医師の女性の話を聞いたことがありますが、毎晩、家政婦さんに食事を作ってもらったそうです。全部、自分でやらなくてもいいのです。
そして、家事やお子さんの世話をご家族や他の人に頼んだり、ヘルパーさんやベビーシッターさんなどにお金をかけても、ママが休める時間をときどき作れたらいいなと思います。

母乳110番の小冊子、「働きながら母乳育児を楽しむ20のヒント」では、いろいろな働くママのさまざまなケースを載せています。

母乳育児を楽しむ20のヒント