心の問題について:カルテ1
1歳の子がいます。
離乳食のむら食いがひどく、食べてくれません。
姑には「三回食の習慣をキチンとしつけないからだ」と責められ、実家の母には「いつまでもおっぱいを飲ませているからだ。早く断乳しなさい」と叱られ、落ち込んでいます。私がまちがった子育てをしたのかと思って申しわけないと思っています。
母乳110番より
それはつらいですね。でもご自分を責めないでほしいです。
1歳くらいは、母乳育児が軌道にのり、スムーズに授乳できておっぱいを楽しめる時期でもあります。お子さんにしてみると美味しいおっぱいで満足していて、食べたくないタイミングで離乳食を口に入れられているときがあるのかもしれません。
・離乳食の本当の開始時期(身体の発達:手を口に持っていく動作ができるか→内臓が整っている。口の中の発達:第二臼歯まで生えそろっているか→固形物をかむことができる。心の発達:食への興味があるか→大人のまねをして食べるようになる)の確認
・母乳を飲む口の動きは、かむ練習にもなっているので無理に始めなくても、上記の開始時期の条件が整えば食べ始めること
・ただし、一般論としての離乳食はもっと開始時期が早いので、周囲の人に言われることをうのみにしないで赤ちゃんのペースを優先すること
・大人が楽しそうに食べて見せることで、食に興味を持ち、まねをしようとするので、準備としてママやパパが楽しそうに食べて見せることが重要
などをお話したところ、「しつけの問題じゃないんですね!安心しました」「自分の食事は楽しんで食べて見せるどころか、おっぱいや離乳食が気になって立って急いで食べていました」とおっしゃっていました。
その後のお電話でご自身も食事を楽しめるようになり、お子さんがそれを見てよだれをたらすようになり、ほんのひとくちですが食べるようになったそうです。
心の問題について:カルテ2
4ヶ月の赤ちゃんと10歳の子を育児中です。
10年ぶりの出産で、産後うつになり役所にも相談しましたが「市には何もできるすべがない」と言われました。産後ケア入院したかったのですが行政からの補助金が出ない地区のため、1泊6万円であきらめました。
上の子のときとちがってよく泣きます。四六時中抱っこしていなくてはならず、夜も4~5時間しか寝ない。今までの人生、ギリギリいっぱいまでがんばってきたが、それでも「忍耐が足りない」と怒られることが多かったし、つらいです。精神科のカウンセリングにも通い始めましたが、あまり合わず、どうしてよいかわかりません。
母乳110番より
つらいのに「つらい」と言えないでがまんしていると、余計につらくなってしまいます。しんどいときは助けを求めていいと思います。
助けを求めた相手が「がまんしなさい」と言うような人だった場合は、すぐにちがう人(次)を探しましょう。
・セカンド・オピニオンのすすめ(カウンセラーに限定せず、他の専門家も探してみる)
・他のママがどうしているかの情報提供(5分ともたずに泣く子のママの生活例をいくつかお話ししました)
・自分に合ったストレス解消法
などをお話ししたところ、
「気持ちを聞いてもらえて、思わず泣いてしまいました。でも、泣いたらスッキリしました。つらいときは『つらい』って言っていいんですね」とおっしゃり、いくつか自分に合いそうな専門家にかかることやストレス解消法を試してみると言っておられました。
その後お電話はありませんが、がまんすることをやめて、自分に合った専門家に出会えて、サポートを受けておられるかもしれません(そうであることを願っています)。
心の問題について:カルテ3
2ヶ月の赤ちゃんと、4歳の子がいます。
不便な地域に住んでいます。行動範囲がせまいうえに自由がなくて、ストレスがすごいです。
駅から遠く、歩ける距離ではない。免許はあるがペーパードライバーなので自転車を使っています。上の子を遊びに連れて行ってやれないし、自分のことが何もできない。落ち着いてトイレに行くこともできません。行政の支援はショートステイを何度か利用したことがあります。でも足りなくて、イライラして上の子に当たってしまいケガをさせてしまったことがあり、思いつめて虐待防止ダイヤルに相談したこともあります。
母乳110番より
パパは単身赴任中とのこと。一人でよくがんばっておられると思います。もういっぱいいっぱいなんですよね。上の子に当たってしまうのも、ありがちなことで、実はそういう話は少なくありません。どうぞご自分を責めないで、何か方法はないか、一緒に考えていきましょう。
・今の環境をすぐに変えることはむずかしいので、今のままでできることが何かを相談
・一時保育の道があることを伝えてくれた虐待防止のダイヤルに再度相談する
・一時保育に子どもをあずけられたら、おっぱいのケアやママの身体のケアなどをその間に行い、心身ともにママを休ませる方法を考える
などを話し合いました。とても泣いていらっしゃいましたし、緊急性のある感じだったので、何度か連絡をいただくようにしました。
その後、行政の一時保育で週のうち2日くらい上の子をあずかってもらえるようになり、余裕ができて上の子に優しくできるようになったそうです。