最近の母乳相談から

生後1か月のお子さん、混合育児中の方からのご相談

*個人情報を抜いて掲載の許可をいただいています( 2021年2月)

1人目の時のようには母乳がなかなか軌道に乗らないと感じています。体重計をレンタルして毎回授乳量を計っているのですが、70〜100ccくらいしか母乳が出ていないようです。産院では、最初からミルクを足しており、退院後も、ミルク110〜120ccなら足して良いと指導されました。が、今、実際200ccくらい足すこともあります。混合だと計測を含め、授乳に45分もかかり、待たせている上の子が可哀想だし、自分自身もストレスを感じて辛い。いっそこのままミルクだけにしてしまおうか、母乳だけにならないものか。両極端を考えて悩んでいます。

授乳のたびに体重を計るのは、ママにとって手間がかかるだけではなく、精神的なストレスになるので、あまりお勧めしません。(そういう私も1人目の時いちいち計っていましたが)まずは体重の数字をいったん頭から追い出して、ご機嫌かどうか、肌のつやはどうか、など全身の様子を観察してみませんか?

どうしても心配であれば、かかりつけの小児科医で頭囲や身長が伸びているかどうかを診てもらっても良いと思います。残念ながら母乳育児に理解のあるお医者さんはあまり多くはないので、医療機関や健診の場などで「もっとミルクを足した方がよい」と言われることもあるかもしれません。

粉ミルクは、飲んでいる間、味も、濃さも、成分も同じです。でも、母乳は飲み始めと飲み終わりとで、ふくまれる脂肪の量がちがいます。最後の方は濃い母乳になって、自然と満腹感を感じて飲み終えられる作用があります。

そのため、粉ミルク育児や混合育児では、粉ミルクを必要以上に飲ませすぎてしまう場合があります。おなかが張って苦しくてぐずったり、うなり泣きをしたり、消化不良による便秘の原因になっていることがあります。大人が飲んでもいいくらいの大きな数字がミルクの分量として表示してあるせいもあるのではないかと私たち相談員は思っています。

今どきの粉ミルクはとても優秀で、母乳にかなり近い成分になっています。ただ、それは口に入る前の成分で、口に入ってから以降の、どのくらい消化吸収がされるのか、はまだよく分かっていません。そして仕組みとして、ミルクを足す量が増えれば、おっぱいを吸わせる機会はそれだけ減ります。その分、母乳は体内で作られなくなってきます。消化時間の違うミルクを足すことで母子のリズム(赤ちゃんが泣く→ママが吸わせる→吸われた刺激で分泌される→分泌される頃に呼び泣きをする→くり返し)が崩れる、と言われるのはそのためです。

また、ほ乳ビンのゴム乳首は、お母さんのおっぱいの乳首と、形も吸い方もちがいます。ゴム乳首のほうが、がんばって吸わなくても、かんたんに出てくるため、少し吸えば、大量に流し込まれます。その飲み方に赤ちゃんが慣れてしまい、お母さんのおっぱいを吸うのをいやがることがあります。「乳頭混乱」という名前がつけられている現象です。

だから赤ちゃんは、おっぱいをくわえたときに「これじゃない!(すぐに)出てこないじゃないか!」と泣くわけです。それを回避するには、赤ちゃんに、ゴム乳首でのかんたんな飲み方を忘れていただく以外にありません。少しコツがありますが、よかったら試してみてください。

・粉ミルクを足す時は、可能ならスプーン授乳やカップ授乳にして、ゴム乳首(ほ乳ビン)はできるだけ使わないようにします。(どちらもネットで検索すると出てきます。)
・粉ミルクは、少しずつ減らします。(できれば80cc以下、じょじょに30ccくらいまでもっていく)
・先におっぱいを吸ってもらう。しばらく吸わせて、どうしても泣く場合は粉ミルクをあげる。「先におっぱい、あとから粉ミルク」、この順番を守ってください。授乳間隔があまり開かなくてもいいです。
・また、夜の方が赤ちゃんが寝ぼけていて吸いつきやすいです。夜間授乳はできるだけ、おっぱいのみにします。昼間も、赤ちゃんが眠そうなときに吸わせると、おっぱいを吸ってくれることがあります。

たくさんのママたちがこの方法を試して、混合から母乳だけになっています。
赤ちゃんの様子をお聞きしたところ、元気で健やかそうでした。「乳頭混乱」を起こしてミルクの飲み方に慣れてしまっただけで、意外と母乳は出ていらっしゃるのではないでしょうか。

母乳1本にしたいと思われた場合は、一度、この方法を試してみてくださいね。
それでもミルクを足さないと不安な場合は、以下に顧問の麻里先生が書いてくださった、母乳不足の見分け方のページがあります。ご覧になってみてください。

*他にも母乳110番公式サイト内の、よくあるご相談ページに似た内容のご相談を何例か掲載しています。
https://bonyuu110ban.com/faq/