③乳房トラブルについて

乳房トラブルについて:カルテ1

生後1ヶ月半の子がいます。
2~3日前から、おっぱいにしこり、痛みがあります。
最初はずっと搾乳で60ccを一日8回授乳していました。生後1ヶ月くらいから、直飲みができるようになりました。出生時3008g、1ヶ月で3900g。寝る時にミルクを足すことあり(40ccくらい)。
おっぱいの痛みをとるためには何か方法ありますか?しこりは自然にとれるのでしょうか。

母乳110番より

直飲みできるようになるまで、よくがんばりましたね!
でも、しこりと痛み、つらいですね。
母乳は「白い血液」なので、血流がわるいとそこがとどこおり、たまってしまいます。そこで、しこりと痛みがある時は、コリをほぐしてゆっくり休むことです。
保冷剤などで冷やす人もいますが、冷えて収縮した血管が、今度は温まるにつれ膨張してもっと痛くなりますので、それは避けてください。脇腹や足腰を温めるなどして、体全体の血行をよくするのもおすすめです。
初めての授乳生活で、肩がこわばり緊張していらっしゃるのかもしれません。できればパパなど家族に赤ちゃんを預けて、1時間でもいいので、安心してぐっすり睡眠をとること。そのうえで、授乳方法を少し工夫してみましょう。

・今までの抱き方、おっぱいのくわえさせ方を少し変えてみましょう。抱き方はたくさんあります。
・なかでも女王様授乳(後ろによりかかり、いばった姿勢で赤ちゃんの口を自分の乳首にもってくるスタイル)はおすすめ。
・普段飲まない方角から吸ってもらう「360度授乳」も、乳腺のつまりやしこりに、予防と効果があります。
・ママの身体を冷やさないで温かくすること。
・以上をバランスよくケアしてみてください。

「そして、二人三脚の練習のようなつもりで、もうしばらく赤ちゃんと相談しながら練習してみてください。」とお伝えしたところ、後日「抱き方を変えてみたらラクになりました」と、連絡がきました。今のところ、再度しこりにならずに済んでいるそうです。

乳房トラブルについて:カルテ2

生後3ヶ月の子どもがいます。
母乳のみで育てていますが、乳腺炎を繰り返しています。38度の熱が出て白斑が消えず、1~2日でガチガチになってしまうパターン。子どもに飲んでもらってやっと柔らかくなる感じです。つらいのですが、母乳をやめる気はありません(断乳の時はもっと痛くなるかと思うと怖くて考えられない)。
夫婦とも実家が遠く、手伝ってもらえる人がいませんが、私がそんな状態なので、2回ほど飛行機で母に来てもらったことがあります。でも母も働いていますし、そうそう無理は言えません。
乳腺炎をくり返しがちなおっぱいの場合、何か予防法はありますか?

母乳110番より

乳腺炎、痛いですよね。それにママの身体がとても疲れているのではないかと思います。母乳110番には同じようなご相談がたくさんきます。
ワンオペのみなさんが「あ、乳腺炎だ。悪化してしまいそう」と思ったとき、よくやる方法は、他の家事は何もかも放り出して、枕元に食べ物と飲み物を用意し、トイレと食事と授乳以外は起き上がらないで(添い乳ができれば授乳も寝たままでよい)、とにかく休む方法です。
なかなかそれができない人が多いとは思いますが、寝てママの身体を回復させないことにはしこりも痛みも治りませんので、いっとき、無理やりにでも、そういう機会をつくります。その上で授乳方法を変えてみます。

・授乳姿勢が前かがみになると、どうしても乳首に無理な力が加わりがちになります。今までの授乳の姿勢で、ひっぱり飲みやねじり飲み、それに近いことはしていなかったでしょうか。赤ちゃんとママのおへそが正面から向き合うようにふんわり抱っこしてみてください。
・ママはうしろによりかかるなどラクな姿勢をとり、自分の乳首めがけて、そこに赤ちゃんの口をもっていくようにします(赤ちゃんの口に一生懸命自分の乳首を近付けているママが多いのですが、それだと乳首を痛めてしまいます)。
・昼間はもちろん、夜もそうしたラクな形での添い乳をします(角度の調節でバスタオルをまるめて赤ちゃんの背中に置いて支えてもよいでしょう)。
・また、少量で回数をたくさん授乳してみてください(大量で回数少なくではなくて)。

などをお話しして、「でも熱が下がらなかったり、しこりが赤く熱をもって腫れあがってきた時は医療機関にかかってくださいね」とお話しました。
その後、お電話をいただきましたが、乳腺炎になることはほとんどなくなったそうです。しこりはたまにできるけど、悪化しないうちに授乳姿勢に気を付けるようにしているとのこと。「とにかく休む」に関しては、「枕元に食べ物飲み物を用意してがんばってみましたが、けっきょく台所のことが気になって起きてしまうことが多かったです。でも産後ケアの派遣サービスを頼めることになり、料理を作ってもらっている間、赤ちゃんといっしょに横になっていることができて、そのときはほっとしています」とのことでした。

乳房トラブルについて:カルテ3

生後4ヶ月の赤ちゃんがいます。
母乳が出過ぎて、乳腺炎が慢性化しています。
訪問の母乳マッサージを週2~3回受けており、お金がかかってそれもつらいです(ひどいときは1日2回)。出生体重は2600グラムでしたが、今は5600グラムあります。乳腺外来で、しこりなどを注射器で抜いてもらったこともありますが、あまり効果がありませんでした。
生後2~3ヶ月のころは、「これから落ち着いてくるだろう」と言われていましたが、少しマシになった程度で状況があまり変わりません。こんな状態で(激痛の胸を抱えて)長時間電車に乗れないし、そもそも抱っこできない。それに子どもが授乳ケープをめくってしまうので、移動時に授乳ができません。そのため里帰り出産だったので、自宅に戻れずにいます。
子どもはおなかがすいたときに飲む感じではなく、出過ぎのおっぱいをむせながら飲んでいる感じです。お金をかけないで自己管理できたらと思っているのですが、方法はありますか?

母乳110番より

せっかくの新居に帰れず、痛む胸を抱えてパパとも別居状態、つらいですね。まずは以下の資料「出過ぎのおっぱいの方へ」をお読みになってみてください。

【母乳が出過ぎる方へ】

「母乳が出過ぎて困っています。しぼらずにいると張って痛いししこりができるし子どもはむせるし、手当を受けても、すぐにまた張ってきてしまいます。」
「母乳が作られる仕組み」
母乳は赤ちゃんが飲むことで、また搾乳したりすることで、出せば出すほどさらに作られます。つまり作った分ぶんだけ生産されるのです。
この場合、赤ちゃんが飲み取る量よりも多く生産されてしまっている状態と思われます。そういうときは片乳を休ませ、徐々に分泌量を低下させていく方法をとります。

具体的には以下のような感じです。

1.授乳のとき、片方の乳房からだけ、おっぱいを飲ませます。授乳後、また飲みたがるようなら、同じ側の乳房から飲ませます。飲みたがらないときは飲ませないようにして、できるだけその片方を休ませる時間を長くとります。

2.張ってどうしても痛いときはしぼってもかまいませんが、できるだけ安静にして休ませます。冷湿布をすすめられることがありますが、氷や冷却シートなどを使うと冷やしすぎ、冷やしたときに縮んだ血管が、温まってくるとき膨張し、さらに痛くなることがあります。*「イモシップ」などの自然の手当てや*「圧抜き」がおすすめです。よかったら試してみてください。

3.3~4時間たってから、次の授乳のとき、反対側の乳房からだけまた飲ませます。

4.これを繰り返すことで、生産過剰な状態だったおっぱいの分泌量を徐々に落としていきます。

5.並行して、*授乳姿勢をチェックします。
できれば赤ちゃんが上を向いておっぱいが流しこまれる姿勢ではなく、たて抱きにしてしっかりおっぱいを吸う形がいいです。赤ちゃんのおへそとママのおへそは向き合っていますか?乳首のねじり飲みやつぶし飲みがないかどうかも見てください。赤ちゃんの口に向かってママの乳首を持っていくのではなく、ママがラクな姿勢でいるところに、赤ちゃんの口を運んでいく形にしてみてくださいね。

6.出過ぎのおっぱいを飲んでいる赤ちゃんは、むせてしまうことが多いかもしれません。授乳前の「前しぼり」でぴゅっと、ほんの少しおっぱいを出してから赤ちゃんにくわえさせるとよいでしょう。(このときに、しっかりしぼるところまでやってしまうと、また生産されてしまいますから、本当に少量にしておいてください。搾乳はもちろん、授乳後の「後しぼり」はしないでください。

7.片乳を休ませていると、そちらは張ってきますよね。乳房が少し張った状態になると、乳汁産生抑制因子という物質が分泌を減らすように働きます。ですから、母乳の分泌を少し減らしたいときは、乳房が少しだけ張った状態になるように、1回の授乳で片方の乳房だけ休ませるといいのです。

8.1~2週間くらいすると、母乳の作られる量と赤ちゃんが飲む量とのバランスが取れ、乳房の状態が落ち着いてきます。

「子が飲み取る量」よりも「母が生産する量」が上回っている、つまり今のあなたの乳房は生産過剰の状態と思われます(そういう方からの相談があまりに多いのでこの資料を作りました)。そこで以下の作戦を行います。

・片乳法の実践(片方の乳房だけ飲ませないようにして、半断乳状態にし、生産量を下げる。下がったころに次はもう片方の乳房も同じことを行う)
・家でできる手当法の実践(サトイモシップやジャガイモシップを貼る方法もあります。昔の人の知恵です。イモ類は水分を吸い取る働きがあります)。
・授乳ケープを使わなくても大丈夫な、工夫された授乳服があります。目の前で授乳しても抱っこしているようにしか見えない(乳首や肌をまったく見せずに授乳できる)のです。ぜひ一度、試着だけでも試してみてください。
・1時間でもよいので赤ちゃんを預かってもらい、美容院や整体、エステなど、授乳から気持ちを離してママの身体のケアをする時間を作ってみてください。

などをお話ししたところ、「片乳法は初めて聞きました。イモシップはネットで見たことがあります。さっそくやってみます」と明るい声になられたのが印象的でした。(出過ぎのケアができる母乳の専門家にかかることができると一番よいのですが、近くにそういう場がない人が多いです)